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今日は宣言通り昼まで寝て、その後のそのそ起きてやや不安さんから貸して頂いた今村夏子の短編集「とんこつQ&A」を読み終わった!

今村夏子の小説を読むのは同じくやや不安さんから借りた「むらさきのスカートの女」に次いで二回目だが、本当に相変わらずの狂気というか、表題作に関しては同系統でそれを上回る狂気を当然のように押し付けてくるような一作。

短編が四つ収録されているので、一作一作に関して簡単に簡単に感想を述べていくか。

まずは表題作、とんこつQ&A。表題作にして最も狂気を孕む、恐怖の一作。親子二人で営むラーメン屋「とんこつ」で働き始めた頭のおかしい人たちの話。その狂気は伝染し、いや伝染したのか元々おかしかったのか、何が正常か分からなくなるまま、主人公と登場人物の狂気を受け入れるしかない読者の我々の無力さが悲しくなる。

最後の方に出てきたとある一文が、静かに、正しく狂う彼女らの様子を克明に表していて読んでいる俺の精神も崩壊しそうになった。

二作目、嘘の道。これは本当に身の毛もよだつ読書体験、というか、本当にゾッとする話。読み手によって多様な解釈ができる結末で、人によっては霊的なホラー、またある人によってはいわゆるヒトコワの話だと捉えることができるだろう。俺は結構前者寄りに感じた。人の罪を糾弾することは簡単だが、ではそんな彼らは実際に自分が糾弾されうる側になったとしたら、果たして正常でいられるのだろうか、という問いに対するアンサーを、曖昧な形で曖昧なまま描き切った作品。かなり食らったし、恐怖した。

三作目、良夫婦。レビューを見てもこの作品が一番印象深かった、という人が多いように感じられる。とある夫婦と近所に住む子供の交流を描いた話なのだが、これがまた夫婦の異常性が滲み出ている。厄介なのが、むらさきのスカートの女やとんこつQ&Aのように、はっきりと「こいつは異常だ」と分かる形で描かれきっていないことだ。つまり、「異常であることは分かるけれど、もしかしたら自分もこの異常性を孕んでいるのかもしれない」と思わされる、ギリギリのリアリティが特徴的なのだ。前述した二作品が「異常さを楽しむ」というエンタメ的な側面を持つものである一方、この作品は否が応でも自分と向き合わなくてはいけなくなる、一種の教科書的な嫌さを持つ。俺は「なんだ、思ったより……」と読み始め、読み終わって少し経った後、「なんだ、思ったより……」と思った自分がいたことに鳥肌が立った。

四作目、冷たい大根の煮物。これは四作品の中では一番マイルドな読み口だと思う。人の親切心とその下に隠された本性は紙一重で、普段関わる人々も、そのどちらか一面だけを見せているにすぎないのかもしれない、と思わされる。結末に関して、「主人公は勉強代を払って良い失敗をした」みたいなレビューが何件かあったが、勿論その感想を否定するわけではないことを前提として、主人公は経験した被害よりも恩恵の方が大きく感じている、つまり何を被害として誰を悪者として見做すかは人の尺度次第だということまで、今村夏子はこの作品で描いたのではないだろうか。

 

と、昼からこんな感じのヘビーな一冊を読み切って、歌集も少しだけ読み進めて、部屋を少し整理して(今日は衣装ケースを多少整理した)不動産関連の諸々を進めた。何と言うか、昼間にバイトも予定も無いとこんなに一日に色々できるのかと思ってしまう。基本バイトが無い日は予定が入っているので感動した。マジでバイト行きたくなさすぎる。

いままでの俺ならバイトくらい余裕だったはずなのに今マジで行きたくない!なんでだよ。

 

夜は友人をボケルバに連れて行った。俺に大喜利というものの存在を教えてくれたのがこの友人で、せっかくなので記念に誘ってみた。

初生大喜利を控えている友人を差し置いてなぜか俺まで緊張していたが、俺が緊張していたらこいつはもっと不安がるかと思って途中からなるべく堂々としていようと決めた。

今日のボケルバはこんにちパンクールゲスト回で、たくさんの人が集まっていたから友人が大喜利の楽しさに触れるにはちょうど良かったのではないだろうか。

一答ちゃんとウケていたのでにっこりした。俺は友人の子の姿が見られて満足。

友人は対決型で全然ウケなくて悔しがっていたが、さすがに初心者が7人3分加点でバカスカ点が取れたらビビる。

楽しかったと言っていたし、また行きたいとも言ってくれたので、何かの機会があればまた誘うかもしれない!

友人に普段は杉並の方で大喜利をすることが多いと言うと「遠い」と言われたが、俺にとっては今や全然遠い感じがしなくて、大喜利に侵されているのかもしれない。

 

帰ってから何となくTwitterを見ていたら(俺の生活にはこういう時間が多くて最悪)みんなが短歌の話をしていて嬉しかった。俺は大喜利の皆さんの短歌も本当に読みたいんですよ。

そして俺もこの前歌集を買ってからやはり詠みたくなって何個か作っている。何が良い、何がイマイチかも分からないしなんだか気恥ずかしいので、百個作ったらその中から自薦して公開する予定でいる。滅茶苦茶恥ずかしいけどね!

 

昔から何かに刺激を受けてそれが自分にも試せるようなことならばすぐに実践に移してしまう。それが自分の良いところでもあり、十分なインプットの土壌が育たないので自己満足や承認欲求のためだけに動いている感じがして嫌だなあとも思う。ただまあ短歌は今のところ(何も知らないからこそ)楽しいので、まあ楽しいなら良いかという感じもする。

 

明日はバイト。本当に、勘弁して頂きたい。バイトごときでピーピー言っている奴が四月からまともに働けるわけがないので、せめてピーピー言わないように頑張って働こう。