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毎週水曜日のバイトは隣の店舗にヘルプに行っている。どうやら水曜午後に固定で入れるメンバーが足りないらしくて、まだこのバイトを始めて間もない俺が駆り出されることになった。

その店舗の水曜午後はかなり忙しく、常温の製品(菓子など)、飲料、アイス、煙草が一気に納品され、それを捌きながらレジを打たなければいけないため、基本的に3人体制で店を回していく。

そんな水曜日の店を守るのが、俺ともう二人、なんと全員が同い年のトリオだ。中でもリーダー格(仮にここではAとする)の奴は大学の4年間をまるまるこのバイト先で勤め上げた筋金入りのベテランアルバイターで、俺が知らない仕事をたくさんやっている。

 

ここで、ある一つの問題が発生する。

バイト先の人と仲良くなれない。

 

基本的にどのバイト先でもそうだった。働いている時は完全に脳がバイトモードになってしまっている。雑談を振られても上手く返せないし、バイト先の人とそこまでして仲良くなる必要があるか?仲良くなるとして何を話すんだ?と思ってしまう(最悪)。

Aと一緒にバイトに入った初日、レジが空いている時に軽い自己紹介をして、同い年なことが判明した途端、彼は「全然タメ口で良いよ」と言ってきた。

 

苦手~~~!

勿論彼は悪くない。悪いのは俺だ。だが俺はどうしてもバイトモードの時に人にタメ口を使うことが苦手だった。以前のバイト先でも、後輩に対して常に敬語で接していた。

しかし、Aは俺に気を遣って、俺と打ち解けたくてこう言ってくれているのだ。タメ口苦手なんて知ったことか。俺が我慢しろ。バイト先で人と仲良くなれ。

俺は意を決してタメ口で会話を続けた。「あ~そうだよね」「分かる」「ほんと難しいよね」など……(俺特有の、中身の無い逃げるような相槌)。

 

翌週から、もう一人の同い年も加わって3人の固定シフトが完成した。彼(以降Bとする)は俺に対して同い年と見るやいきなりタメ口で話しかけてきた。

水曜午後に店を守る同い年同士の男三人、仲良くやっていきましょうや、という意思の表れだろう。俺は引きつった笑顔でタメ口を使い、自己紹介を済ませた。

 

ここで問題はさらに深くなる。

A、B、俺の中で、俺が最もバイト歴が浅いということだ。必然的に、仕事の細かいことはAから教わることになるし、仕事全体の指示出しもAが担当することになる。前職で経験を積んでいるとはいえ、俺はまだまだ初心者だ。適宜Aによる細かいアドバイスや指示を受けることとなる。とてもありがたい。

しかしだ。教わる立場になった時、俺は最もタメ口が使えない。

Aの「後でこれやっといて」のような簡単な指示に対しても「分かりました」「了解です」といった言葉が口からすらすら出てきてしまう。

仕事のやり方が分からなくて助けてもらった時など特にだ。「ありがとうございます」が反射で出る。そのたびAは「タメ口で良いよ」と言ってくる。

確かに、初回の時はタメ口だったのに急に敬語になるのも変な話ではある。だから俺はなるべくタメ口を使うことを意識する。「了解です」と言いそうになった時「了解」で止める。

「これって~ですか?」と聞きたい時は「これって~」までで止めて、どうしても敬語が我慢できなくなったら「……すかねぇ?」などと栗松みたいな語尾で誤魔化す。雑談を振られたときは「確かに」など、本来敬語を使うべき相手に対しても敬語を使わずに発することができるワードをたくさん使って乗り切る。俺はクズだ泣。ダメ人間。チンカスコミュ障。

 

しかしそんなAとBはお互いに本当に業務連絡みたいな会話しかしていない。ただ敬語じゃないだけ、みたいな関係性である。しかもAもBもかなりローテンション(ネガポジ変換:落ち着き払っている)なので、別に互いにタメ口だからといって楽しい間柄には見えない。
そんな中でAは自分のミスを残業して取り返そうとして俺とBを無理やりサービス残業に巻き込んだり与えられた仕事を勝手に拡張して積極的に行うなど、社会人としては正しいがバイトとしてはやりたくない働き方をしている。特に前者に関しては本当に面倒だったし、後続に引き継げば良いのに「いえ、僕のミスですから」と後続のパートのおばちゃんにさわやかな笑顔を向け、その実無関係な俺たちを巻き込んでいるので悪質だ。だが、そこまで仕事に対して愚直な同い年に対して、尊敬と劣等感が入り混じった自己中心的かつ最悪な感情を抱いてしまう。仲良くなれそうにないタイプなので、一層タメ口から遠ざかっていく。

 

そして今日も、その三人でバイトを終えた。三人とも同じ時間に退勤するのだが、Aは今日もBを巻き込んで残業していたので俺は逃げるように更衣室で着替えを済ませて店を出ようとした。するとすれ違いざまに一仕事終えたAとBが振り向いてきて、こう言った。

「今度時間ある時三人でご飯でも」

 

俺は「ぜひ」とも「行こう」とも言わなかった。

ただはにかんだだけである。俺って人類最下位なのではないかと思ってしまう。

 

バイト先で飲み会があって交友関係を築きやすいような職場を楽しめる人や、職場に好きな人や恋人がいる人はきっと俺の何倍も日頃のバイトが楽しいんだろうな、と思いを馳せながら、店を出た。

 

店を出た俺はダイソーに向かった。東北遠征に向けて一応ネックピローを買っておこうと思ったのだ。

そこで気づいたのだが、ダイソーのお菓子コーナーって見たことないお菓子がたくさん売っていて楽しすぎる。しかもこれが全て108円。近年物価高の影響を受けお菓子がどんどん値上げされる中、この価格でこの量を!?みたいなお菓子もちらほらあって嬉しくなる。特に気になったのは韓国産のマシュマロで、俺は海外のカラフルなマシュマロが大好きなので非常に心惹かれた。また普段スーパーなどで買うと120円はくだらないおつまみ系のお菓子が全て108円で、小学生のように胸をときめかせた。スーパーでお菓子買うよりデカいダイソーに寄った方が良いのでは(錦糸町にあるデカすぎダイソーにお邪魔しました)。キャラメルコーンの綿菓子味などがあって、意味の分からなさに狂喜乱舞した。今度1000円札を握りしめてダイソーのお菓子コーナーに行き、子供たちを尻目に無双したい。

その後ブックオフにも寄って、この遠征の移動中に読む本を買った。ずっと読みたかったので満足だ。

 

書きたいことを全部書いていたらこんな文量になってしまった。とりあえず、バイト先の人と仲良くなれない愚かで最悪な俺を誰か許してください。

明日からは東北遠征編!!!ハンターハンターで言うところの天空闘技場編、進撃の巨人で言うところの2期、家庭教師ヒットマンリボーンで言うところの黒曜中編みたいになると思う。日記頑張って続けるぞ!